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鮫島吉廣氏に聞く「鹿児島で焼酎が愛される理由」

鮫島吉廣氏に聞く
「鹿児島で焼酎が愛される理由」

—NPO法人かごしま焼酎マイスターズクラブではどのような活動をされているのでしょうか。

鹿児島大学では、鹿児島の焼酎について製法や味わい・歴史をもっと深く知り学びたい社会人を対象とした人材育成プログラム「かごしまルネッサンスアカデミー」焼酎マイスター養成コースを開講しています。
焼酎マイスターコースでは、鹿児島大学(担当は農学部付属・焼酎発酵学教育研究センター)、鹿児島県、鹿児島県酒造組合、および SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)との連携により、焼酎に関する基礎や文化、マーケティングなど様々な講義を体系的に学び、修了後の審査で合格された方に焼酎マイスターの資格を授与しています。

2021年には10期目を迎える講座は毎回人気が高く、参加される受講生の方は年齢や職業も様々。120時間に及ぶ講義の内容は、座学にレポートや実習、と決して簡単ではないスケジュールなのですが、皆様大変熱心にご参加いただいております。
受講生同士の繋がりも深く、講座修了後に修了生と集まる機会も多いのですが、その中で「焼酎マイスターの資格は取得できたが役立てる場が無い」といった声が上がり、焼酎マイスターによる鹿児島の焼酎文化を広げる活動を行おうとNPO法人「かごしま焼酎マイスターズクラブ」を設立することになりました。
かごしま焼酎マイスターズクラブでは、定期的な勉強会で講師を招いて焼酎に関する知識を深めている他、焼酎に関するイベントへの参加や企画を行っています。

—「焼酎マイスター」という専門資格があるほど地域に親しまれて文化が根付いている鹿児島の焼酎。その歴史的背景を教えてください。

日本において「酒」といえば清酒が多くを占めますが、鹿児島は南国という気候もあり清酒の主原料である米が無く、昔は技術も設備も十分ではなかったことから、清酒を作ることができませんでした。
米が無い中でも酒を作るために、鹿児島で手に入る素材であるさつまいもを使って酒造りを行ってきました。
明治の頃に酒税法で禁止されるまでは鹿児島では味噌や醤油のように各家庭でも焼酎が造られ親しまれていたんですよ。

その後、焼酎造りは免許制になりますが、現在も鹿児島県内に113もの日本一多い蔵元があることから、今日に至るまで鹿児島では焼酎が愛され続けていることが分かります。

—鹿児島の焼酎にはどのような特徴があるでしょうか。

清酒はそのまま飲まれることがほとんどであるのに対して、鹿児島では焼酎をお湯割りなど割って飲むことが多いです。
焼酎は蒸留酒ですが、食中酒として食事にも合わせられるなど世界的に見ても非常にユニークな酒と言えます。

焼酎といっても全国的に見れば米や麦など素材は様々ですが、鹿児島の焼酎、特に芋焼酎に慣れてしまうと他の焼酎を受け付けられなくなるほどの魅力があります。
また、同じ鹿児島の焼酎と言っても113もの蔵元がありますから、各蔵元ごとに素材や味わいの違いが楽しめるのも特徴です。

—鹿児島の焼酎を楽しむポイントを教えてください。

鹿児島の焼酎に限らずお酒の楽しみ方として、まずは「楽しく飲むこと」「胃の負担にならないように適度に食事を取りながら飲む」と言ったことが挙げられるかと思います。
楽しく飲むには、体の調子を考えながら自分のペースで飲むことが大切ですが、割合を調整して楽しめる鹿児島の焼酎はそのような楽しみ方にぴったりです。
清酒のように合わせる料理を選ばないのも鹿児島の焼酎の特徴。お好みの割合で焼酎を割って、好きな肴と一緒にゆったりと楽しむのがおすすめです。

また、焼酎は翌日にも残りにくいという特徴もありますが、美味しすぎて飲みすぎることがないように注意が必要ですね(笑)

焼酎の飲み方は、お湯割り、水割り、ソーダ割り、と様々ありますが、鹿児島の焼酎はぜひ鹿児島の地で地元の料理と共に飲んでいただきたい。
鹿児島で語らい、焼酎を味わう「かごしま割り」こそ焼酎を楽しんでいただくポイント、かもしれません。

−最後に、鹿児島の焼酎についてメッセージをお願いします。

鹿児島の焼酎は、鹿児島の風土と地域が育んだ美味しいお酒です。
酒の価値は語るべきものの多さで決まる、と言われますが、特有の歴史を持ち今もなお地域に愛され続ける鹿児島の焼酎はまさに当てはまります。

長く焼酎を愛してきた鹿児島には「だれやめ」という文化が根付いています。
鹿児島弁の疲れを意味する「だれ」を「止める」−これは、ただ晩酌するだけではなく、明日も頑張るために楽しく飲んで今日の疲れを癒すこと。
明日を考えて節度を持って酒を嗜むことは、今日の社会が求めていることでもあります。
ぜひ、皆様もルールを守りながら、鹿児島の焼酎を美味しく楽しんでいただけたらと思います。

©K.P.V.B

深い歴史と多様な文化−まさに、語るべき話の尽きない鹿児島の焼酎。
もっと知りたい、学んでみたい、という方は、ぜひ鹿児島大学「かごしまルネッサンスアカデミー」焼酎マイスター養成コースもご覧ください。

鹿児島大学「かごしまルネッサンスアカデミー」焼酎マイスター養成コース
https://www.life.kagoshima-u.ac.jp/rena/shochu/

NPO法人かごしま焼酎マイスターズクラブ
https://ameblo.jp/shochu-meistersclub/

鮫島吉廣氏プロフィール

1947(昭和22)年鹿児島県加世田市(現・南さつま市)生まれ。
1971年京都大学農学部食品工学科卒業。同年ニッカウヰスキー入社。1976年、薩摩酒造入社。
常務取締役研究所長兼製造部長を最後に2006年、退職。同年10月、鹿児島大学農学部に新設された焼酎学講座(開講は2007年4月)教授に就任。2013年4月、鹿児島大学客員教授。
九州各地で教え子達が本格焼酎づくりに携わっている。
焼酎文化や歴史など鹿児島の焼酎の伝え手を育成する「かごしま焼酎マイスターズクラブ」理事長。
『ダレヤメの肴』(南日本新聞社)、『焼酎・一酔千楽』(南方新社)など著書多数。近著は『焼酎の履歴書』(イカロス出版)。

黒じょか
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