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取締役統括本部長・岩切謙吾さん 太久保酒造株式会社

取締役統括本部長・岩切謙吾さん
太久保酒造株式会社

芋を語らずして焼酎を語るべからず

鹿児島県北東部、志布志市。宮崎県との県境に近い田園地帯で、一面に広がる畑のど真ん中に、太久保酒造はあります。

訪れたのは春。畑には黒いマルチシートが張られた畝に、数えきれないほどのサツマイモの苗が植えられていました。

創業明治43年、隣町の大崎町に蔵を構える久保醸造が前身の太久保酒造。母体は、年間10,000トンにも及ぶサツマイモを契約農家と共に栽培し、地元の焼酎メーカーなどに出荷する中山信商店です。今から30年ほど前、現会長の中山信一さんが、小規模でも、自分達で作ったサツマイモで「本当の芋焼酎を造りたい」と、久保醸造の協力を得て新会社を設立しました。「太く大きくなるように」との思いを込めて「太久保酒造」と名付けたのだそうです。

こだわりの原料と甕壺仕込みで、一工程ずつ丁寧に造られる焼酎は、口当たりがまろやかで、奥深く、風味豊か。原料芋は、黄金千貫や安納芋、紅はるか、紫芋の他にも、源氏芋げんちいもといって、明治から大正時代にかけて栽培されていた、今あるサツマイモのルーツとなる品種などさまざまです。この源氏芋と古代米で仕込み、かつて鹿児島の侍たちが飲んでいたであろう芋焼酎の味を再現した本格芋焼酎『侍士さむらいの門』は、同蔵を代表する銘柄であり、令和2年熊本国税局酒類鑑評会において、入賞も果たした逸品。淡麗でキレの良い味わいは、全国の特約販売店や、有名旅館などでも大評判となっています。

事務所には、古代米の稲が飾られていました。普通の稲より丈が長い!

杜氏の教えを胸に、あえて挑んだ樽貯蔵

焼酎造りから営業まで、幅広い業務を担当する岩切謙吾さん。大崎町の出身で、地元から世界に発信できる仕事がしたいと、建設業から転身してきた経歴の持ち主です。黒瀬杜氏の下で焼酎造りを学び、蔵人と一緒になって、「いい芋焼酎とは、お湯割りでしっかりと香りや味を感じられる酒質であること」というその教えを、ひたすらに追求してきました。

2021年に発売した同蔵初の樽貯蔵芋焼酎『太久保ホワイトオーク』『太久保レッドカスク』は、実に6〜7年の開発期間を要し、今もなお「試行錯誤中」という気鋭の新商品。「芋は樽貯蔵には向かない」と反対の声が多い中で、海外からの熱烈なリクエストもあり、「海外でも焼酎がもっとメジャーになる、その足がかりになれば」と開発に踏み切ったそう。

取締役統括本部長・岩切謙吾さん太久保酒造株式会社

目指したのは、芋の良いところも、樽の良いところも、両方を引き出した酒質。すなわち、芋の余韻を感じられて、なおかつ樽由来の香りや味わいの変化とのバランスがとれていること。「3年以上熟成させた芋焼酎の古酒をさらに樽で熟成させ、一番良いタイミングで樽から出す、この見極めが難しい」と、岩切さんは話します。

発売から2年、既に海外での評価も上々だそう。アメリカのホワイトオークの新樽で熟成させた『太久保ホワイトオーク』は、樽由来の心地よいほのかなバニラ香と、優しい芋のコク、甘みを感じられる1本。『太久保レッドカスク』は、ヨーロッパで赤ワイン樽として使われていた樽で熟成させた、濃厚な香りと赤ワインのような酸味を感じつつも、まろやかで旨みのある1本。どちらも飲んだ後スパっとキレが良いため、料理の味を邪魔せず、度数が高くてもスルスルと飲めてしまうおいしさです。

「これがまた、お湯割りも合うんです!」と岩切さん。

家族と過ごす空間で、一日の疲れをほぐす晩酌の時間。

ウイスキーハイボールのように炭酸割で飲むのはもちろんおいしいのですが、岩切さんのおすすめは、断然ロック。お気に入りの薩摩切子ロックグラスに注いでくださいました。

「美の匠ガラス工房弟子丸」が限定で製作したレインボーカラーの『彩雲』。七色の光が氷と焼酎に反射して、グラスの中で美しく輝きます。

合わせるのは、大人のチョコレート菓子、ボンボンショコラ。今回は、ひと口大のチョコレートの中に焼酎が入った、焼酎ボンボンショコラを紹介してくれました。

全国の百貨店のバレンタイン催事などでも大人気という「パティスリーヤナギムラ」の焼酎ボンボンショコラ『薩摩蔵』は、上質なフランス産チョコレートの中に、とろっとした液状の焼酎が入っていて、まろやかなくちどけと、優しく香る焼酎の風味を楽しむことができます。

『侍士の門』と『太久保梅酒』の2銘柄の詰め合わせは、太久保酒造の特約販売店のみの限定販売

口の中でチョコレートの甘さと焼酎の香りがとろけたところに、『太久保ホワイトオーク』のロックをひと口流し込めば、何か張り詰めたものがほどけて、一日の疲れも飛んでいくような、至福の気分を味わえます。「家に帰って、3人の娘たちが騒いでいるのを聞きながら、愛犬と一緒に晩酌するのが癒しの時間です」と岩切さんは笑います。

自分たちでサツマイモを育て、それで作ったこだわりの焼酎を、鹿児島のパティスリーが作ったスイーツと、鹿児島の伝統工芸士が手掛けた酒器で味わう。そんな、産地ならではの贅沢を、ここ志布志から世界に発信していきたい。ひいては大隅半島、鹿児島にたくさんの人を呼べるようになること―。岩切さんの挑戦は続きます。

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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