薩摩川内の中心で、焼酎と地元食材を
“楽しみながら”味わう
鹿児島県北西部・東シナ海に面した穏やかな街、薩摩川内市。古くから薩摩の城下町のひとつとして栄え、今もなお、歴史の趣と新しい活気が調和しています。市内を流れる川内川は人々の暮らしに寄り添い、四季折々の表情を見せながら、この街の豊かな自然を育んでいます。
そんな薩摩川内の中心街に、「海鮮浜焼き ながら」をはじめ、地元の焼酎と食材を楽しめる3つの飲食店を構えるのが、元気いっぱいのオーナー・坂口聡さん。甲冑風の制服姿がトレードマークで、店内にはいつも明るい笑顔と活気があふれています。随所に遊び心とこだわりが感じられ、まさに“楽しみながら”を体現する方です。
薩摩川内にある全国的に有名な甲冑工房のTシャツがユニフォーム。 自分で焼いて味わう楽しさ
焼酎とともに“ながら”の時間を
平成28年にオープンした「海鮮浜焼き ながら」は、2025年で9年目を迎えます。
お客さん自らが焼いて味わうスタイルが人気で、地元で獲れた新鮮な海鮮を卓上でじっくり焼き上げることで、素材本来の旨味を引き出せるのが魅力。
海鮮だけでなく、鹿児島県産黒牛や黒豚を使った焼肉メニューも好評で、カルビやホルモン、タンなど多彩な味が楽しめます。薩摩川内の食材を中心に、全国各地のおいしいものを吟味して仕入れており、どの料理にも坂口さんのこだわりが光ります。
店名の「ながら」には、焼酎を飲みながら、語りながら、笑いながら、時間を楽しんでほしいという想いが込められています。
薩摩川内をはじめ鹿児島県内各地の焼酎が数多く揃い、飲みやすい「焼酎ハイボール」の提供や銘柄の特徴をまとめたメニューの設置など、焼酎初心者にもやさしいお店。味の違いを知りながら、自分に合った焼酎を見つける楽しさがあります。
味わい深い3つのおすすめ
今回、料理と焼酎のおすすめの組み合わせ3種を教えていただきました。
最初に紹介していただいたのは、きびなごやエビ、ホタテなど旬の海の幸を一度に楽しめる定番メニューの「海鮮盛り」です。
こちらと合わせたいのはオガタマ酒造の鉄馬を使った「鉄馬ハイボール」。
鉄馬は、熟成された芋焼酎の古酒を樽貯蔵した一本で、樽由来の華やかな香りとスモーキーな余韻が特長。芋の甘みとすっきりとした飲み口が海鮮の風味を邪魔せず、絶妙なバランスで引き立てます。
2品目は、鹿児島県産黒毛和牛を中心に、カルビ、ホルモン、タンなどさまざまな部位を味わえる「焼肉の盛り合わせ」。
そんな焼肉の盛り合わせに合わせたいのが、「六代目百合のコーラ割り」。
甑島の塩田酒造で造られる「六代目百合」は、力強いコクと深みのある味わいで知られる本格芋焼酎。甘く豊かな香りの中にしっかりとした芋の旨味があり、余韻まで厚みを感じさせます。そこにコーラを合わせることで、ふわりとした甘さと炭酸の爽快感が加わり、肉の脂を軽やかに流してくれる一杯に。重厚でありながら飲みやすく、焼肉との相性は抜群です。
肉の旨味、脂の甘み、そして「六代目百合」のコクが絶妙に重なり合う! 3品目は、鮮度と味にこだわった生かきと焼かき。
その時期に最もおいしい産地から仕入れるため、仕入れ先は季節ごとに変わります。生かきと焼かきでもそれぞれ産地を分け、食べ方に合わせて最も味が引き立つものを厳選。ぷりっと大ぶりでジューシーな身は、焼いても生でも絶品です。
そんなこだわりのかきに合わせたいのは、「田苑シルバーの緑茶割り」。
樽熟成によるまろやかな口当たりと穏やかな香りが特徴の麦焼酎「田苑シルバー」は、クラシック音楽を聴かせて熟成させる音楽仕込みでも知られています。そこに地元の「西之原製茶」の粉末緑茶と水を合わせることで、焼酎のやさしい甘みとお茶のほろ苦さが溶け合い、口の中をすっきりとリセット。海鮮の繊細な旨味をより引き立てる、通好みの組み合わせです。
海鮮浜焼き ながら
電話:0996-26-1177
営業時間:17:30~24:00
定休日:水曜
甲冑が見守る語らいの場
JR薩摩川内駅から徒歩5分の場所にある「 鹿’tariyan(カタリヤン)」には“未来を語り合う場所に”という思いが込められています。13年目を迎えた今も、地元の食材や焼酎にこだわり、訪れる人の心と舌を満たし続けています。
店内には個室や2階席もあり、落ち着いた雰囲気のなかでゆっくりと食事が楽しめます。2階には立派な甲冑が飾られ、お店のシンボルのような存在感を放っています。坂口さんの「楽しく、前向きに語り合ってほしい」という思いを象徴するかのような演出で、店の世界観を一層深めています。
オススメは、鹿児島の海の恵みをふんだんに使った「刺身盛り」。
一切れ一切れが大ぶりで食べごたえがあり、茶ぶり、カツオの藁焼き、たかえび、きびなごなど、季節ごとにさまざまな地魚が並びます。箸には鹿児島県産の竹を使うなど、細部にまで地元愛が息づいています。
さらに注目したいのが、オガタマ酒造とコラボして生まれた限定焼酎「ちぇすと」。
白麹・黒麹・エクセレント麹の3種類を使用し、シェリー樽で熟成。ほのかに木の香りが漂う、深みと華やかさを併せ持つ味わいです。刺身の旨味を包み込みながら、ゆっくりと語らう時間に寄り添います。
薩摩川内居酒屋 鹿’tariyan
電話:0996-22-7206
営業時間:17:30~24:00
定休日:水曜
薩摩川内の夜に語らいを灯す 新たな憩いの場
薩摩川内の夜に新しい風を吹き込む「スナックいろは」は、オープンしてまだ1カ月。
焼酎を軸にウィスキーや日本酒など幅広いお酒をそろえています。
スナックの魅力や伝統、文化を誠実に伝えたいという思いのもと、温かな人のつながりを大切にした空間づくりが特徴。店内にはほうじ茶を炊いたやさしい香りが広がり、初めて訪れる人でもどこか懐かしく、ほっとできる雰囲気に包まれます。
今回は特別に、薩摩切子のグラスに注いでいただきました。
最初の一杯は、山元酒造の「BEYOND GODAI」の炭酸割り。
パイナップルやマスカットを思わせる爽やかな香りが広がり、清酒造りにも使われる吟醸酵母で仕込んだ本格芋焼酎です。通常よりも長期熟成させ、低温でじっくり発酵させることで、吟醸酵母ならではの華やかな香りが際立ちます。
次におすすめしていただいたのは、同じ山元酒造の「農林二号」の水割り。
今では幻の品種といわれている芋「農林二号」を、山元酒造の農業法人「焼酎蔵ファーム」で自社栽培し、冠嶽山(ルビ:かんむりだけ)の伏流水で仕込んだ逸品です。職人の丁寧な仕上げによるやわらかな口当たりと、昔芋ならではの力強い香りと素朴な甘みが調和。
素朴ながら力強い香りが心に残る「農林二号」。 スナック いろは
電話:090-8189-5886
営業時間:20:00~25:00
定休日:水曜
薩摩川内の街を歩くと、どこか温かく、力強い空気を感じます。
「海鮮浜焼き ながら」をはじめとする坂口さんの3店舗もまた、その街の魅力を体現するような存在です。
仲間と語りながら、笑いながら、焼酎を片手に今を楽しむ時間。
焼酎を通して人と人がつながり、食と文化が交わる。
そんな薩摩川内ならではの豊かな時間を、ぜひ体感してみてください。






















