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杜氏・弓場 裕さん 鹿児島酒造株式会社

杜氏・弓場 裕さん
鹿児島酒造株式会社

黒瀬杜氏の技と信念を受け継ぐ焼酎蔵

美しい海と山々に囲まれた、鹿児島県北西部の街・阿久根市。東シナ海を望む、潮風漂う市街地エリアに、黒瀬杜氏の技を継承する蔵、鹿児島酒造の黒瀬杜氏伝承蔵があります。

場所は、阿久根駅の真裏。線路脇には、阿久根の特産・ボンタンが大きく実っていました。

焼酎造りに初めて黒麹を使い、その後の焼酎産業に花を咲かせた、南さつま市笠沙黒瀬の杜氏集団。そのまとめ役として活躍した黒瀬金次郎の技術を受け継ぐ息子の黒瀬安光氏が、鹿児島酒造の初代杜氏となりました。麹菌を使う名手として名高く、全国から杜氏が相談にやってくるなど「杜氏の中の杜氏」とも呼ばれ、その功績の大きさから平成25年に「現代の名工」、その後、「黄綬褒章」も受章しています。

「和を重んずる造りから美味しい焼酎が生まれる」を信念に掲げ、頑固な職人気質というよりは、楽しみながら造ることを大切にしていたと蔵の人々は話します。老若男女に喜ばれる焼酎をと、10年の試行錯誤を経て開発した焼き芋焼酎も、革新的なものでした。後に「やきいも黒瀬」として、蔵一番のヒット商品になっています。

そんな黒瀬安光氏のもとで学び、現在2代目杜氏を務めているのが、取締役工場長の弓場裕さんです。15人の蔵人たちを率いる蔵の元気印で、黒瀬杜氏から受け継いだ「焼酎造りは、楽しい雰囲気で」をモットーに、日々焼酎造りに励んでいます。

杜氏の弓場裕さん

笑顔が絶えない蔵の雰囲気が印象的

おいしい焼酎造りは、麹造りが肝。

かつて薩摩藩の時代には、国分の煙草と並ぶ薩摩の二大特産品として、全国で重宝されていた阿久根焼酎。19代薩摩藩主の島津久光が阿久根を訪れた際には、献上された焼酎のあまりのおいしさに、上等な酒を意味する「諸白もろはく」と絶賛したと言われています。

その名を冠した蔵の代表銘柄「さつま諸白もろはく」は、芋焼酎本来の芳醇な香りとやさしい甘みのある味わいが特徴の、白麹仕込み焼酎。麹米にはこだわっていて、焼酎の麹にベストな米を選び、適切な温度管理と黒瀬杜氏から受け継ぐ熟練の感覚で製麹せいきくしています。

手にまとわりつかない、「さばきの良さ」が良い麹の証拠だと話す弓場さん。麹米は人肌くらいの温度で管理し、培養の具合は、麹米を噛んで舐めてみて味覚で確かめているそう。

クエン酸がきちんと出ているかを体感しながら、良い米麹を作っていく。

タンクに入った一次もろみは、日本酒のような甘い香り。舐めさせてもらうと、ヨーグルトの上澄みのような酸っぱさがありました。このクエン酸の効果で、もろみが腐敗せずに発酵することができます。そこにサツマイモと水が加わりアルコール発酵が進んだ二次もろみのタンクからは、原料由来のフルーティーな香りが漂います。

一次もろみ

コガネマサリを加えた発酵中の二次もろみ

タマアカネを加えた華やかな香りの二次もろみ

そうしてできた鹿児島酒造の銘柄は、甘みの強いS型白麹(スペシャル麹)を使った「阿久根」や、加えて清酒用の黄麹を培養したネオマイセル吟醸麹を贅沢に使い、強い甘みとキレのある焼酎に仕上げた「黒瀬安光」、ネオマイセル吟醸麹とG型黒麹(ゴールド)で甘み・旨み・キレがバランスの良い「金次郎」など、幅広い酒質がそろいます。

「皆さんの『おいしい』が答えです」と弓場さん。阿久根の風土や、蔵つき酵母に由来する「蔵のクセ」を活かしながら、マニュアルや数字の管理に基づくだけではない、杜氏の熟練の勘と経験、体感をもとに、おいしい食事に欠かせないうまい焼酎造りが行われています。

焼酎が進む、新鮮な海の幸

阿久根と言えば、デコポンやボンタンなどのフルーツに代表される山の幸をはじめ、春はうに丼祭り、秋は伊勢えび祭りが有名なように、阿久根漁港近海で水揚げされる新鮮な海の幸に定評があります。地元出身の弓場さんも、そんな阿久根の良いものをたくさん紹介したいと、焼酎に合うグルメをいろいろと教えてくれました。

今回はその中でも、キラキラ輝く鮮度抜群の天然キビナゴをご紹介。鹿児島の郷土料理にも欠かせないキビナゴは、刺身はもちろん、焼いても揚げても煮ても良し。パクパク食べられるので、焼酎の肴にもぴったりです。

漁場直送の天然物は、透明感があり、身が締まっていて肉厚。

連れてきていただいたのは、蔵から徒歩5分の「太郎寿司」。地元の老若男女に愛される、創業50年近い名店です。

年配客も無理なく利用できるよう、カウンター席のほか、畳のテーブル席を備える。

鹿児島酒造の焼酎もいろいろと飲み比べできます。店主の上野新太郎さんが丁寧にさばいて骨を取ったキビナゴで、手際よく料理を仕上げてくれました。

公私ともに弓場さんも御用達だそう。

いただいたのは、キビナゴ寿司、キビナゴ刺し、キビナゴの煮付け。まったく臭みがなく、甘くて柔らかくて程よい弾力のキビナゴを、思う存分堪能することができました。特に、寿司や刺身でいただく生のキビナゴは、「貴美女児キビナゴ」とも書かれるように見る目にも美しく、焼酎も進みます。

甘めの醤油や味付けのキビナゴ料理が、「さつま諸白」のお湯割りにマッチ。

最後に弓場さんから、「又間水産」のキビナゴ丸干しもイチオシと教えていただきました。天日塩の甘塩でソフトな仕上がりとなっており、少し炙るだけで味わい深い逸品に。鹿児島で昔からよく食べられているガランツ(イワシの丸干し)より、少し食べやすいかもしれません。焼酎好きにはたまらない酒の肴です。

阿久根特産のボンタン漬(フルーツ菓子)も焼酎に合いますよ!

※本記事の情報は、取材当時のものです。

黒じょか
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