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杜氏・川畑 慶介さん 吉永酒造株式会社

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島とともに循環する吉永酒造の焼酎造り

鹿児島本土から西へ約30km。東シナ海の荒波が削り出した断崖が続く、神秘的な島・甑島こしきしま。その南端にある手打地区で、1908年(明治41年)の創業から119年間、伝統を守り続けている吉永酒造。

その蔵の中心で焼酎造りを担うのは、杜氏の川畑慶介さん。創業当時から変わらぬ手造りへの真摯な姿勢を今に受け継ぎ、島の代名詞とも言える「甑州そしゅう」や「五郎」など、島ならではの個性が光る本格焼酎を造っています。

100年以上の「甕壺」と、杜氏の感覚で醸す手造り麹

蔵へ一歩足を踏み入れると、まず目を引くのが床にずらりと並んだ「甕壺」の列です。「創業以来使い続けているもので、一本ずつ形も大きさも違います。この100年以上の歴史が染み込んだ甕壺に住み着く菌こそが、うちの味の決め手なんです」と川畑さんは語ります。

吉永酒造の焼酎造りは、どこまでも感覚を大切にします。麹室での麹造りも、機械による温度管理に頼ることはありません。天窓の開閉による室内の換気ひとつで繊細に温度を調整するその技術は、長年の経験が頼りになります。手間を惜しまずこれまでの伝統を引き継いでいます。

機械に頼らぬ温度管理。培った「経験と感覚」で醸す、手造り麹

機械に頼らぬ温度管理。培った「経験と感覚」で醸す、手造り麹

現在、製造を担うのは川畑慶介さんと弟の勇介さん二人。そこに家族やパートの従業員を合わせた総勢7名が、この伝統の味を支えています。

伝統を継ぐ、吉永酒造の川畑一家

甑島の試練に挑む

離島での焼酎造りは、常に自然との隣り合わせです。台風でフェリーが欠航すれば、原料の芋をはじめとする物資が届かないことも珍しくありません。かつて酵母が届かなかった際には、蔵に住み着いている野生の酵母だけで焼酎を造り上げたこともあったと言います。

「島では、焼酎を造る以外のことまでできないと、焼酎は届けられません」。そう話す川畑さんは、機械の溶接や分解、さらにはフォークリフトのクラッチ交換まで自らこなします。専門業者がすぐに来られない離島だからこそ、どんなトラブルにも即座に対応し、造りを止めない。その執念と「先を読む」ひたむきな行動が、一滴の焼酎に宿る力強さへと繋がっています。

メンテナンスは、できるだけ分解し隅々まで掃除をするそう

メンテナンスは、できるだけ分解し隅々まで掃除をするそう

甑島の歴史が刻んだ「1:6」の黄金比と、命を繋ぐ循環

吉永酒造の焼酎を唯一無二のものにしているのは、一般的な芋焼酎造りよりも多い「芋の割合」にあります。かつて甑島で盛んに栽培されていた焼酎専用芋。その島内唯一の納入先であった吉永酒造には、連日芋が届けられました。そのすべてを受け入れ、旨みに変えようと試行錯誤する中で辿り着いたのが、麹1に対して芋を6投入するという独特の比率です。

「芋を増やしすぎても良くないが、減らしてみると、それはもう吉永の味ではなかった」。そう語る川畑さんが守り続けるこの「麹1:芋6」の黄金比こそが、どこにも真似できない濃厚な芋の香りと深いコクの源です。

毎日手をかける、丁寧な仕事が味わいを深める

毎日手をかける、丁寧な仕事が味わいを深める

甑島での暮らしは「命の循環」とともにあります。川畑さんは、山の上で牛を半野生の状態で放牧している畜産家でもあります。焼酎造りの過程で出た芋の切り落としや焼酎かすは、捨ててしまえばゴミになりますが、牛たちにとっては最高のご馳走です。「自分たちで造ったものの恩恵を、島に還していく」。そんな自給自足の精神が、焼酎造りにも息づいています。

芋のヘタを食べる牛。芋の切り落としを廃棄せず、島で循環させている

芋のヘタを食べる牛。芋の切り落としを廃棄せず、島で循環させている

さらに、吉永酒造の力強い味わいを支えているのが、トンネルの掘削時に湧き出した湧き水(通称:ホタル水)です。硬度36 mg/Lの軟水が、贅沢に使用され芋の旨みを優しく引き出し、後味にまろやかな透明感を与えています。

和紙のラベルを手で破り、一枚一枚丁寧に手貼りして仕上げる一瓶には、島の歴史と造り手の誇りが隅々まで詰まっています。

「タカエビの燻製 えびくん × 五郎」による至福の時間

そんな川畑さんが「杜氏の肴」として紹介してくれたのは、地元甑島で獲れたタカエビの燻製「えびくん」です。刺身でも絶品のタカエビの旨味を凝縮した燻製は、まさに焼酎のためにあるような一品。甑島の海水から作られた塩のみを使い、クセの少ないリンゴの木で燻すことで、エビ本来の甘みと旨味を最大限に引き出した逸品です。

鷹丸工房で作られている

これに合わせるのは、看板銘柄の「五郎」。全量甕壺仕込みが生み出す、まろやかな口当たりと、ほんのりとした甘みが特徴の昔ながらの芋焼酎です。

「芋焼酎はやっぱりお湯割りが一番」と川畑さん。お湯割りにすることで、さつまいも由来のふくよかな風味が、タカエビの濃厚な旨味と口の中で響き合い、互いを引き立て合います。

もちろん、キリッと冷えたロックや、喉越し爽やかな水割り、炭酸割りなど、好みに合わせた飲み方でも楽しめる「五郎」。

川畑さんの丹精こもった焼酎と、甑島が誇る最高の一杯。一日の終わりに心まで解きほぐしてくれる至福のペアリングを、ぜひ体験してみてください。

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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