自然と向き合う東酒造の酒造り
鹿児島市南部・谷山エリアの入り口にあたる小松原の、住宅街の中に工場を構える東酒造。大正4(1915)年創業で、「何事も自然が一番」という創業者・東喜内の想いを受け継ぎながら、焼酎造りに向き合ってきました。原料となるさつまいもや米、麹、水、それぞれの素材が持つ力を最大限に引き出す酒造りを続けています。
割り水には、代表銘柄の名前にもなっている鹿児島市七窪地区・大重谷の湧水を使用。火山灰が堆積したシラス台地によって磨かれた清らかな水は、口当たりのまろやかな焼酎を生み出します。
小松原工場で造られた原酒は、金峰工場へ運ばれ、複数の原酒をブレンドして熟成させます。東酒造では独自に開発した熟成機でタンク内に対流を起こし、気体化した原酒を竹炭でろ過して戻すことで、芋焼酎特有のクセをやわらげ、華やかな香りを引き出しています。
また、貯蔵の段階から製品に近いアルコール度数に前割りしておくことで原酒と天然水をなじませ、縦型・横型の熟成タンクを使い分けながら、すっきりした中にコクのある酒質に仕上げる工夫も。「原酒を造る杜氏や蔵人だけでなく、ブレンダーや品質管理、商品開発担当も含めてチームで酒造りをしています」と話すのは、代表の福元文雄さん。
「安定した酒質を実現するために、日々試行錯誤を重ねています」とも 創業者の「杯を重ねるごとにおいしくなる焼酎を」という言葉を道しるべに、飲み飽きることのない味わいを目指しながら、個性豊かな銘柄造りに取り組んでいます。
「当たり前のことを当たり前に」
受け継がれる杜氏の信念
東酒造の酒造りを支える四代目杜氏・大迫重孝さん。元宮大工という異色の経歴を持ちます。「地元の伝統に関わる仕事がしたい」と30年前にUターンし、焼酎造りの世界へ飛び込みました。
「造りが緻密」と福元さんも信頼を寄せる大迫さんが大切にしているのは、「手を抜かないこと」。品質に厳しかった三代目杜氏・前村貞夫氏から教わった「当たり前のことを当たり前に行う」という言葉を胸に、衛生管理や品質管理を徹底しています。
その積み重ねは結果にも表れており、大迫さんが手掛けた「七窪 芋々彩々」は令和8年熊本国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。
仕込みの時期には泊まり込みで麹やもろみの世話をすることもあり、「四六時中、酒のことを考えている」という日々。そんな大迫さんにとって、家族が作る料理をつまみに焼酎を楽しむ晩酌の時間は、何よりの息抜きです。
また、東酒造では本格芋焼酎のほかにも、1300年以上の歴史を持つ伝統の灰持酒「黒酒」も製造しています。鹿児島では古くから、さつま揚げや煮物などの調味料として親しまれてきた地酒。戦後、一度は途絶えた灰持酒ですが、創業者が復活させて以来、東酒造では火入れを行わない伝統製法による生酒にこだわり、造り続けています。米由来の豊かなうまみを生かした料理酒として、今も県内外の多くの料理人に支持されていて、「黒酒」を使って作った料理は、焼酎との相性も抜群です。
黒酒を使った餃子と「克」の組み合わせ
今回、大迫さんがおすすめしてくれたのは、鹿児島中央駅近くに店を構える居酒屋「餃子のあかり」の手作り黒豚餃子です。
鹿児島県産の黒豚にたっぷりの野菜を混ぜ込んだ餡の味付けに、東酒造の「黒酒」を使っています。黒酒には素材をやわらかくし、臭みを抑えながら自然な甘みとうま味を引き出す働きがあり、県産食材の持ち味をより一層引き立てています。
焼きたての餃子を頬張ると、香ばしい皮の中から肉汁とうま味があふれ出します。そこに合わせるのは炭酸割りとの相性を追求した本格芋焼酎「克~無手勝流~」。マスカットのような香りとライチのような甘い味わいが、餃子のおいしさと調和し、後味をすっきりとまとめてくれます。
店長の森祐人さんは、「『黒酒』は和洋中どんな料理にも使えて、味付けはシンプルなのに、複雑な旨みを出すことができる。餃子の香ばしさと黒酒のうま味に、芋焼酎の香りがよく合います」と話します。
本格芋焼酎を造る酒蔵が守り続ける伝統の地酒を使った餃子と芋焼酎の組み合わせは、鹿児島の食文化の奥深さを感じさせてくれます。蔵のこだわりが詰まった一杯とともに、杜氏おすすめの肴を味わってみませんか。
東酒造株式会社
電話:099-268-2020
餃子居酒屋 餃子のあかり
電話:099-296-1357
[ 営業時間 ]不定休、月~金・祝前日:15:00~翌0:00(料理L.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)土日祝:12:00~翌0:00(料理L.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)
※2026年7月は臨時営業時間(月~金・祝前日:17:00~23:00 土日祝:15:00~翌0:00)
※本記事の情報は、取材当時のものです。






























