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杜氏・八木健太郎さん  健土株式会社 牛ノ根蒸留所

杜氏・八木健太郎さん
健土株式会社 牛ノ根蒸留所

垂水の風土とともに歩み始めた「牛ノ根蒸留所」

鹿児島県・垂水市たるみずし牛根うしね。山と海が迫る自然豊かなこの地に、2025年10月、鹿児島で110番目(当時)となる新たな焼酎蔵「健土株式会社 牛ノ根蒸留所」が誕生しました。舞台となったのは、かつて子どもたちの笑い声が響いていた旧・牛根中学校。体育館を仕込み場や蒸留所へと改装し、新たな焼酎造りが始まりました。

中国の諺「疾風に勁草を知る」に由来するロゴ。強い風にも負けない草木のように、積み重ねた努力を根として、何度でも再生する強さへの思いが込められている

蔵の隣にある販売所は、以前病院だった建物を改装して活用

蒸留所の横に位置する旧・牛根中学校の屋上からは、錦江湾と桜島の絶景が広がる

代表兼杜氏を務めるのは、約20年にわたり焼酎造りに携わってきた八木健太郎さん。長年培ってきた醸造経験と大きな夢を胸に、自らの蒸留所を立ち上げました。
その船出を支えたのは、八木さんの情熱と人柄に引き寄せられるように集まった、地元の仲間や各専門の職人たち。「一緒にやろう」と次々に手を貸してくれる人が現れ、さまざまな縁が重なって、約1年半という短期間で蒸留所の開業へたどり着きました。

「感謝し学び、革新を恐れず挑戦し、地域とともに未来を創造する」を理念に、八木さんの新たな酒造りがここ牛根の地から始まっています。

日々おいしい焼酎造りに真摯に向き合う、代表兼杜氏の八木健太郎さん

旧中学校の体育館を改装した焼酎蔵。広々とした空間で酒造りが行われている

中学校の面影を伝える跳び箱も、そのまま大切に残されている

畑から渾身の一杯まで。垂水の風土を映す「ドメーヌ」の焼酎造り

八木さんが自ら掲げる肩書は、「農業醸造家」。畑を耕し、原料を育てるところから酒造りまで一貫して手掛ける、「農醸一体」の焼酎造りを追求しています。その根底にあるのが、ワイン造りに倣った「ドメーヌ」という考え方。その土地ならではの味わいを表現することを目指しています。

牛ノ根蒸留所では自社で畑や田んぼを持ち、さつまいもと麹用の米を育てています。収穫した芋のほとんどは焼酎造りにも使用するため、八木さん自身も芋切り作業から加わることで、その状態を一つひとつしっかりと目で見て確かめているそうです。

また、ここ牛根の地には眼前にそびえる高隈山脈からの大きな地下水の水脈があり、その豊かな地下水を仕込み水に使用しています。口当たりの柔らかな「超軟水」で、それが牛ノ根蒸留所で作られる焼酎の味わいの大きな鍵ともなっています。

代表銘柄「健土」は、黒麹をベースに複数の麹を掛け合わせ、現在は新規生産されていない貴重な和甕で仕込みを行っています。甕の中でゆっくりと進む発酵に寄り添いながら、機械だけに頼ることなく、日々変化するもろみの状態を細やかに見極める八木さん。一つひとつの工程に手間を惜しまず、妥協のない焼酎造りに向き合っています。

垂水の豊かな自然の中、青々と茂る自社のさつまいも畑

黒麹をベースにした複数の麹を絶妙なバランスで掛け合わせることで、「健土」ならではの味わいを生み出している

コガネセンガンを投入した二次もろみ

同業の友人蔵元たちから譲り受けた貴重な和甕やタンクが、牛ノ根蒸留所の新たな酒造りを支えている

蒸留は常圧で行い、八木さんが特に神経を研ぎ澄ませるのが、蒸留液のどこまでを製品に生かすかを判断する「カットポイント」。蒸留中の香りや味わいの変化を自ら確かめながら、最適なタイミングを毎回見極めます。数字やマニュアルだけに頼らず、これまで培ってきた経験と五感を生かして酒質をつくり上げていきます。

そうした徹底的な手仕事と情熱から生まれる「健土」は、力強さと優しさが同居する、唯一無二の味わいを誇ります。

蒸留の工程が始まると、状態を見守り続ける

左から「健土1stボトル」、代表銘柄「健土」、樽貯蔵芋焼酎「健土 久礼土モリ」

焼酎のほかにも、オリジナルTシャツやグッズも揃う販売所

自社栽培のさつまいもは焼酎だけでなく、「蜜滴焼き芋」や、焼き芋と焼酎で風味豊かに仕上げた「蜜滴やきいもジェラート」にも。農業醸造家として、さつまいもの魅力を多彩な形で届けている

レストランウチエが仕立てる至福のペアリング

今回八木さんに杜氏の肴としてご紹介いただいたのは、同じ垂水市に2026年7月にオープンした洋食・フランス料理の「レストランウチエ」です。オーナーシェフを務める谷脇寛仁さんは、八木さんと小・中学校の同級生。お互いに苦難の時代を乗り越え、この垂水の地にそれぞれのお店を構えました。
中学卒業後すぐに料理の道へ進んだ谷脇さんは、カナダやフランスなど海外を渡り歩き、腕を磨いてきました。
ランチタイムには女性グループから家族連れまで幅広い客層で賑わい、誰もが温かい笑顔になれる空気が店内に満ちています。

父から受け継いだ「ウチエ」の名を掲げ、垂水の憩いの場として人々の笑顔が集う

「料理を通して地元の人にも遠方の人にも垂水の良さを伝えたい」。そんな店主の温かな想いが詰まったレストランウチエ

白を基調とした空間に木の温もりが調和する、落ち着いた店内

レストランウチエで提供される料理には、地元の豊かな食材がふんだんに使われています。垂水産の養殖カンパチやブリ、豚肉は垂水の天然温泉水を飲んで育った「美遊豚びゆうとん」など、「地元のお客さまが多く来店してくださるので、この土地の食材を使っていると話すと喜んでいただけるんです」と、谷脇さんは楽しそうに語ります。

おすすめは、コース料理の一品としても登場する、色鮮やかな特製ピンチョスです。バケットの上に色鮮やかな食材をふんだんに乗せた一皿は、目で見ても楽しめる華やかさがあります。
「洋食と焼酎って本当に合うの?」そんなイメージを覆してくれる、気軽につまめるピンチョスと焼酎の組み合わせ。洋食と焼酎の新たな楽しみ方を提案してくれます。

さらに、牛ノ根蒸留所の焼酎とのペアリングを楽しめるフレンチコースや、ケンファームの「蜜滴焼き芋」とジェラートを使ったパフェも用意。「パフェには、糖度50度超えの蜜滴芋を使った『蜜滴KEND』のロックがおすすめ」だそう。

グラスに注がれた「健土」のすっきりとしたシャープな味わいが、料理の旨味を心地よく受け止め、次の一口、次の一杯へと自然に進んでいきます。「健土」はどのような飲み方でも美味しく、その日の気分に合わせたお好みのスタイルで気軽に楽しめるのも大きな魅力です。

垂水の恵み溢れる食材に、特製ドレッシングを合わせて。他では味わえない風味が広がるこだわりのピンチョス

その日の食材で作る彩り豊かな特製ピンチョスに「健土」の水割りを合わせて

レストランウチエのオーナーシェフ谷脇寛仁さん

香ばしいチーズベーグルも、「健土」と抜群の相性を見せる

オープンから日々、訪れるお客様とのつながりを大切にしながら、新しい試みにも前向きに取り組んでいるレストランウチエ。「美味しい料理とお酒を楽しんでほしい」という店主の想いは、訪れるすべての人の心を満たしてくれます。蔵のこだわりが詰まった焼酎と、同級生であるシェフが仕立てる料理。垂水の風土を感じながら過ごす贅沢なひととき。その魅力を、ぜひ現地で体感してみてください。

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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