杜氏のふるさと・南さつまで磨かれる一杯
杜氏発祥の地として知られる南さつま市で、100年以上にわたり焼酎を造り続ける宇都酒造。明治36(1903)年の創業以来、黒瀬杜氏や阿多杜氏から受け継がれてきた技を大切にしながら、時代に合わせた焼酎造りを続けてきました。
仕込みに使うのは、丁寧に作られた米麹と県内産の新鮮なさつまいも。さつまいもは磨き上げて使うことで、雑味のない、「調和した味」に仕上げています。
仕込みに使うコガネセンガン 代表銘柄「天文館」「金峰」に加え、近年は「金峰紅はるか」や、炭酸割り用でアルコール度数33度の「OPNIK(オプニック)」、「KASEDANMON FOR HIGHBALL 33度」など、香りや味わいに個性を持たせた限定焼酎も開発しています。
「蒸留は焼酎造りの中でも特に繊細な工程。ちょっとしたことで、味わいや口当たりが変わります」と話すのは、5代目社長であり、杜氏でもある宇都尋智さん。特注の蒸留器を使い、蒸気圧や温度管理を細かく調整しながら、柔らかく繊細な甘みを引き出しています。
先人の知恵を、一杯の焼酎に
宇都さんは、黒瀬杜氏の神渡勇治氏から焼酎造りの技を学びました。
「麹をしっかり作り、芋を選びなさい」、恩師から繰り返し教えられたその言葉は、今も酒造りの基本です。神渡杜氏は「自分の孫に食べさせたいと思える芋を使え」と語っていたと言い、宇都さんもその教えを胸に、自ら品質を確かめたさつまいもで仕込みを行っています。
杜氏文化が色濃く残る南さつま市では、かつて多くの杜氏たちが地域を越えて活躍し、互いに技術や情報を共有していました。宇都さん自身も、引退した杜氏たちとの交流を続けながら、先人たちの知恵や経験を学び続けていると言います。
また、南さつま市内の焼酎蔵が連携する「七蔵協議会(南さつま地場焼酎普及推進協議会)」では、地域の蔵と手を取り合いながら、地場焼酎の魅力発信や焼酎文化の継承に尽力しています。
「蔵グセとは、杜氏グセだと思うんです」そう語る宇都さんが目指すのは、伝統を守るだけではなく、時代や環境の変化に合わせて進化し続ける焼酎造り。そして、先人たちから受け継いだ杜氏文化を次世代へとつないでいくことでもあります。
杜氏が愛する、ふるさとの味
そんな宇都さんが最近お気に入りの肴として挙げるのが、地元・南さつま市のコワダヤが造る焼豚です。
さっぱりとした甘みの脂身と、きめ細かく歯切れのよい肉質が特徴の鹿児島県産黒豚 鹿児島ブランドの黒豚を、地元の老舗醤油蔵のオリジナル醤油を使った秘伝のタレにじっくりと漬け込み、県産の炭火で香ばしく焼き上げた逸品。しっとりやわらかな肉質と、噛むほどに広がる豚肉の旨みと甘辛い味付けが、芋焼酎のやさしい甘みとよく合います。
合わせるなら、ふくよかな旨みと切れの良い後味が特徴の「天文館」を水割りで。「冷やした水で焼酎を割ると、香りがきれいに立ちます。氷を入れすぎると味が締まりすぎるので、この飲み方の方が焼豚とも合わせやすいですね」そう話す宇都さん。
「肉も魚も野菜も、この土地にはおいしいものがたくさんあります。その豊かさを焼酎と一緒に楽しんでほしいですね」 ふるさとの食と、その土地で造られた焼酎。地元を知り尽くした杜氏だからこそすすめられる、間違いのない組み合わせです。
宇都酒造株式会社
電話:0993-53-2260
※本記事の情報は、取材当時のものです。











